企業の人手不足が深刻な中、若手社員の離職防止を考えるセミナーが、姫路市下寺町の姫路商工会議所であった。特定社会保険労務士の泉正道さん(45)が「入社直後は育成よりも会社になじませる期間」「結果だけでなく、プロセスや存在を『承認』することで社員が定着する」などと会社側の心構えを解説。市内企業の経営者や人事担当者ら約40人が聞き入った。(金 慶順)
同商工会議所と県社会保険労務士会姫路支部が共催。両者は年に1度、人事や労務に関するセミナーを開いている。
厚生労働省の調査によると、2022年3月に大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に辞めた割合は33・8%。離職率は過去20年でほぼ横ばいといい、泉さんは「若手離職は最近の傾向ではない」と話す。その上で若手の離職理由を、人間関係▽成長実感の停滞▽社風などが合わない「カルチャーミスマッチ」▽入社前に聞いた情報と食い違う「リアリティーショック」-の四つに整理した。
入社直後の対応については、新入社員を船に乗せることに例えた「オンボーディング」の考えを紹介。初日は「自己紹介で新人だけにしゃべらせず先輩も話す」「終業前に1対1で面談して不安を解消する」などと、会社になじませるための具体策を示した。
「『分からなかったら聞いてね』と言われても、誰に聞けばいいか分からないと孤立する」と泉さん。初日に先輩の名前や業務、趣味を書いた席次表を渡すなどして、相談先を明示するのが有効だと話した。
成長実感に向けては「承認」の技術を伝え、「小さな成功を見逃さずに言葉で伝えてほしい」と強調。業務のプロセスを、小さな階段を上るように細かく刻んで設計することで、成功体験が重なるという。
評価ではなく定着を目的とする面談、福利厚生、ミスマッチをなくす採用など、テーマは多岐にわたった。泉さんは「定着力を高めるには社長が勉強して本気で取り組むことが大事。社長から管理職、社員へ広がれば会社の文化になる」と呼びかけた。
セミナー終了後、多くの参加者が泉さんに自社の事例について質問をするため列を作った。4月に新入社員2人を迎えるという市内の建設会社社長の男性は「2年前に若手社員6人が退職して人手不足が深刻」と話す。「面談はしていたがマンネリ化していた。社員の不安を解消できるようしっかり目配りしたい」と話した。
























