日本馬主協会連合会名誉会長で、明石市の金属切削加工会社「きしろ」会長の松本好雄(まつもと・よしお)さんが8月29日未明、膵がんのため死去した。87歳。明石市出身。葬儀・告別式は近親者のみで行った。後日、お別れの会を予定している。
明石高校、千葉工大卒。個人の大馬主としても知られた。競走馬につける冠名の「メイショウ」は「明石」と「松本」からとり、メイショウサムソンなどの所有馬が活躍。8月23日、個人馬主として初となる日本中央競馬会(JRA)通算2千勝の記録を樹立した。
きしろは1915(大正4)年創業。神戸製鋼所(神戸市中央区)が製造する大型船舶エンジンに用いるクランク軸の切削加工などを請け負ってきた。エンジンの力をスクリューに伝える重要な部品で、大型船舶エンジン用クランク軸の生産で世界シェア首位を誇る。社長を37年間務め、2009年に長男好隆さんに社長職を譲り、会長に就いていた。
04年から9年間、明石商工会議所の副会頭を務めた。また、自民党の西村康稔元経済産業相(衆院兵庫9区)の後援会長を長く務めた。
将棋の内藤國雄九段との交流も深く、「きしろ杯争奪関西女流メイショウ戦」のスポンサーとして将棋界を支援した。07年に紺綬褒章、10年に旭日小綬章を受けた。
訃報を受け、日本騎手クラブ会長の武豊さんは「父の代から公私ともにお世話になり、今年もメイショウタバルで宝塚記念を勝たせていただいた。松本さんの遺志を継ぎ微力ながらも競馬の発展のために頑張っていきたい」とコメントした。