アイスクリーム市場の推移
アイスクリーム市場の推移

 猛暑が続く中、アイスクリーム市場が右肩上がりで拡大している。業界団体の調べでは、国内のアイス市場は5年連続で過去最高を更新。神戸市内の工場では新たにアイスの製造ラインが稼働を始めた。神戸のアイス消費もさぞかし伸びていると思いきや、支出額は全国の主要都市で最下位クラスだという。「スイーツの街」なのに、なぜ? 事情を探った。(広岡磨璃)

■謎解く鍵は「喫茶店文化」

 「ピノ」に「MOW(モウ)」、おなじみのアイス商品が続々とラインを流れ、全国に出荷されていく。神戸市灘区にある森永乳業(東京)の神戸工場。これまで基幹工場の一つとして牛乳やヨーグルトを生産してきたが、今年4月、新たにアイスの製造ラインを稼働させた。閉鎖を予定する富山県の工場から生産を移管。新ライン稼働により、同社全体のモウの生産能力は1・3倍になるという。

 業界団体「日本アイスクリーム協会」(東京)によると、2024年度の国内のアイス販売実績は6451億円で、5年連続で増加した。値上げの影響があるものの、物量(体積)ベースでも前年度から3%増え、1994年度に次いで過去2番目の多さとなった。