シスメックス本社に掲げられた企業ロゴ=神戸市中央区脇浜海岸通1
シスメックス本社に掲げられた企業ロゴ=神戸市中央区脇浜海岸通1

 公正取引委員会は13日、独禁法違反(不公正な取引方法)の疑いで調べていた医療機器製造大手のシスメックス(神戸市中央区)が提出した自主改善策「確約計画」を認定した。医療機関に機器を販売する際、自社製の試薬も合わせて購入させたとして、昨年6月に立ち入り検査をしていた。法令違反は認定していない。

 公取委によると、同社は遅くとも2019年8月以降、病院などに血液凝固測定機器を販売する際、他社の試薬が使えるにもかかわらず、自社製の試薬の購入を条件としていた疑いがある。18年12月に発売した測定機器について、自社の試薬のみを使わせることを基本方針としていた。

 計画では、抱き合わせ販売と疑われる行為の中止や、取引先から違反疑いの相談を受ける窓口を設置するとしている。また、公取委が承認した弁護士ら第三者による監視と報告も盛り込まれた。計画の提出は、事業者が独禁法違反疑いのある行為をやめて改善に取り組むと合意する「確約手続き」に基づく。

 公取委の担当者は「セット販売は独禁法に違反しないが、技術的に必要ないのに取引先の選択を妨げる営業活動は問題」とした。

 血液凝固測定機器の製造販売は同社の有力事業。公取委などによると、国内の同機器市場で1位のシェアを占める一方、試薬は2位という。(末永陽子)