時計店が連なるユニークな一角をつくり出したミヤコ。貴伝名学さんは「挑戦すれば、周囲が応援してくれる街」と話す=神戸市中央区三宮町1
時計店が連なるユニークな一角をつくり出したミヤコ。貴伝名学さんは「挑戦すれば、周囲が応援してくれる街」と話す=神戸市中央区三宮町1

 神戸・三宮センター街のほぼ中央部。ひときわ目立つ場所がある。

 セイコー、グランドセイコー、ドイツの「ジン」、シチズン、カシオ。五つの時計ブランド販売店が軒を並べ、集客力を高め合う。全店を一つの企業が経営している。

 1912(大正元)年創業の時計・宝石店ミヤコ。本店はJR加古川駅前の商店街「ベルデモール」(加古川市)にある。阪神・淡路大震災から3年後の98年、センター街1丁目に初めて店を構えた。

 「商売は立地がものを言う。何と言っても人通り、しかもファッションセンスの高い人たちが往来しているのを魅力に感じた」。同社会長の貴伝名慧(きでなさとし)(77)が出店の理由をこう語る。

 郊外型ショッピングセンター(SC)が相次ぎ開店していた時代。地元の加古川でも、本店のある駅前商店街から郊外のSCへ人が流れていた。

 ミヤコも郊外SCへ出店するが、客足はSC自体の集客力や、目新しさに左右される。人通りが衰えない、兵庫県内随一の都市型商店街に活路を求めた。