今年6月で創業100年を迎えた登山・アウトドア用品店、好日山荘(神戸市中央区)。3年前の2021年、同社は「3なし」状態に陥っていた。
売っても売っても利益が出ない「金なし」、ゆえに商品も十分に買えない「在庫なし」、希望退職を募った影響の「人なし」-。経費がかかるため、赤字店舗の閉鎖すら難しいという財務状況だった。
コロナ禍でアウトドアブームが到来していたが、富士山など各地の山が閉山となった影響で、登山客の回復は順調ではなかった。22年2月のロシアによるウクライナ侵攻を機に始まった物価高やその後の円安も、生活必需品ではない登山用品の店には逆風となった。
事業再生を託され、社長付顧問として入社した松本良一氏(51)は「とにかく社員とコミュニケーションを取ろう」と、対話を重ねた。現場の課題を把握する中で、一つの結論にたどり着いた。「面倒くさいことにしか勝ち目はない」。店舗改革に着手した。