好日山荘センタープラザ神戸本店の加藤雅子店長。業績の好不調を店頭の第一線で体感してきた=神戸市中央区三宮町1
好日山荘センタープラザ神戸本店の加藤雅子店長。業績の好不調を店頭の第一線で体感してきた=神戸市中央区三宮町1

 あと2年半もすれば創業100周年を迎えるというのに、会社や店の中は疲弊した空気に包まれていた。

 2021年11月。日本最古の登山・アウトドア用品店、好日山荘(神戸市中央区)に社長付顧問として赴任したばかりの松本良一氏(51)はそう感じた。

 店では登山用のウエアを数多く販売しており、それを売る社員も自店で扱うウエアを着ていた。しかしよく見ると、多くの社員が着ていた服は新作ではなかった。もう店頭に置いていない旧モデルもあった。毛玉だらけのウエアを着ている社員もいた。

 ウエアは社員割引で購入したもので、社員自身が着ることでマネキンの役割を果たしていた。店で売る衣服を着て接客するのは、アパレルの店舗ではよく見る光景だ。「店員の服装を見て購入するお客は多い」とアパレル店で勤務した経験のある女性会社員は話す。