兵庫県内の短観について解説する別所昌樹・日銀神戸支店長=神戸市中央区京町
兵庫県内の短観について解説する別所昌樹・日銀神戸支店長=神戸市中央区京町

 日銀神戸支店(神戸市中央区)が1日発表した6月の兵庫県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の業況判断指数(DI)がプラス15と、5四半期ぶりに悪化した前回調査から1ポイントの小幅上昇となった。価格転嫁が進み収益力の改善がみられたが、人手不足の深刻さも浮き彫りになった。

 DIは業況が「良い」と答えた割合から「悪い」とした割合を引いた値。5月29日~6月28日、大企業から中小まで329社を調査し、全社から回答を得た。

 製造業は前回と変わらずプラス9。非製造業は2ポイント改善し、プラス23となった。インバウンド(訪日客)効果で消費が増え、半導体などIT関連受注も好調だった。円安や原材料費の高騰による仕入れ価格の上昇は続くが、販売価格への転嫁はある程度進んだ。

 ただ雇用人員判断DIはマイナス26と、前回から4ポイント改善したものの厳しい状況が続く。特に非製造業の中小企業では、3カ月先の見通しがマイナス50と過去最低を更新し、深刻な人手不足が露呈した。

 別所昌樹支店長は「県内の景気は、基調として緩やかに回復しているが、コスト高などの下押し圧力はある。中小企業の業績回復が遅れる中、賃上げ原資の確保に向けた販売価格の引き上げ動向を注視している」と話した。(高見雄樹)