写真撮影に応じた福間香奈女流六冠=5日午後、関西将棋会館
写真撮影に応じた福間香奈女流六冠=5日午後、関西将棋会館

 来年1月から将棋のプロ棋士編入試験に臨む福間香奈女流六冠(33)=清麗、女王、女流王座、女流名人、女流王位、倉敷藤花=が5日、大阪府高槻市の関西将棋会館で会見した。2022年以来、2回目の挑戦で、女性初の棋士となる夢を追う。昨年12月に出産した福間は「子育てと対局に、全力で挑みたい」と語った。(小林伸哉)

 八つの女流タイトルのうち、六冠を持つ福間は、共働きの夫、長男と3人暮らし。2月の復帰以降、育児をしながら7回の番勝負で防衛したほか、西山朋佳女流二冠(30)=白玲、女流王将=から女王の座を奪った。一方、タイトル戦を巡っては、9日付で日本将棋連盟に要望書兼提案書を提出し、妊娠・出産する女流棋士のための制度改善を求めている。

 棋士編入試験については、10月6日に受験資格を得た当初、挑戦を即断できず「こなせるかどうか」「悔いのない選択ができれば」と答えるにとどめていた。

 受験の申請期限は1カ月以内。熟考して、締め切り2日前に届け出た。「主人が協力してくれるということで『好きなようにやったらいいよ』と声をかけてくれた。それが決め手になりました」と明かした。

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 家族がいる今と3年前、どちらが強いのか-。会見で質問が飛んだ。

 福間は、将棋に打ち込む時間が妊娠してから減り、棋力の面で「現状はかなり厳しい」とした一方で、出産を経験して「精神力の面ではかなり強くなった。一手一手慎重に指す、高い集中力につながった」と晴れやかな表情を浮かべた。

 もともと22年の試験で不合格(0勝3敗)となった直後は「最後の挑戦のつもり」と表明していた。

 しかし、息子が次々と言葉を発して成長する姿を見て、心変わりした。「守るべき存在ができたので、自分自身ももっと成長しなければいけない、という気持ちに自然となった」。協力する夫への感謝の思いも大きくなり「挑戦していくべき」と考えたという。

 「家族のサポートあってなので、おかしな将棋は指せない。『この一局を無駄にはできない』という気持ちが強くなって、ミスをしても、その盤面に集中するようになった。あまり後悔しなくなった」と語る。

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 「勝負に徹して頑張っていきたい」。1カ月に一度、試験官を務める四段の棋士と5番勝負で対局し、3勝すれば合格する。

 第1局では、奨励会員だった5月に第38期竜王戦5組ランキング戦で優勝した山下数毅(かずき)四段(17)と戦う。第2局から、片山史龍(しりゅう)四段(21)▽生垣寛人(いけがきひろと)四段(22)=神戸市出身▽岩村凛太朗(りんたろう)四段(19)▽炭崎俊毅(としき)四段(17)=姫路市出身、在住-の順番でぶつかる。

 福間は今年、山下と研究会で1度だけ指し、対抗形の将棋で敗れた。他の試験官について「対局したことがなく、ちょっと未知数。若くてすごく勢いが良い印象」とし「(5番勝負は)かなり厳しい戦いになるのではないか」と語った。

 福間が生垣に挑む第3局は来年3月に指されるが、先立つ12月22日、第39期竜王戦6組ランキング戦1回戦で、同じ顔合わせが実現する。生垣のプロデビュー戦であり、両者にとって試験の前哨戦となる。