囲碁の一力遼天元(28)=棋聖、名人、本因坊=に志田達哉八段(34)が挑む第51期天元戦(神戸新聞社主催)5番勝負の第1局が4日、浜松市の茶室「松韻亭」で打たれ、午後5時1分、白番の一力が186手までで中押し勝ちした。3連覇(通算4期)に向けて好発進した。
序盤は一力が白18(16六)と大ゲイマにカケて右上で戦いに突入。志田が右辺で実利を稼ぐ間に、一力は中央に厚みを築き、互角の進行となった。
一力が白72(8十七)とノゾいてからは、下辺で激戦が勃発した。志田は黒97(17十七)など冷静に対応し、黒113(14十三)から白石を仕留めに出た。ところが、一力の白114(13十三)がシノギの好手。ここから一力が一気に優位に立った。志田は黒131(13十八)からコウを仕掛けたが、及ばなかった。
持ち時間各3時間のうち、残りは志田1分、一力2分。
立会人の彦坂直人九段(63)は「中盤までは両者の持ち味が存分に発揮されていた面白い碁だっただけに、志田八段が急に形勢を損ねてしまったのが残念。第2局の勝敗が、シリーズの結果を分けそうだ」と話した。
第2局は21日、札幌市のホテルエミシア札幌で打たれる。一力が連勝して防衛まであと一歩とするか、プロ20年目で七大タイトル初挑戦の志田が初勝利を挙げるか、注目される。
一力遼天元の話 黒69(9五)と上辺を飛ばれ、どこから局面を動かすかが難しかった。白70(14十七)、72(8十七)と積極的に打ったが、良かったのかどうか。黒107(16十四)にどう打つか分からなかった。右下でコウになり、他で大きく損をしなければ残ると思った。
志田達哉八段の話 下辺に白から大した手がないだろうと思い、黒73(7十七)とツイだが、白82(10十八)の下ツケが見えていなかった。黒97(17十七)と引いたあたりは大変だと思っていた。黒109(5十五)抜きは甘かったか。ヨセコウになってしまっては厳しかった。