竹野町に整備されたサイクリングコースを満喫する外国人ら(ククー提供)
竹野町に整備されたサイクリングコースを満喫する外国人ら(ククー提供)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークに認定される山陰海岸の一地域、豊岡市竹野町で、地元の観光関係者が新たなサイクリングコースを提案している。海沿いの巨岩のほか、江戸時代に北前船の寄港地として栄えた街並みを楽しめ、インバウンド(訪日客)にも広まりつつある。(津谷治英)

■住民がガイド 地元食材楽しめるコース料理も

 透明感あふれる青い海が魅力の竹野浜を発着点に、1~2時間で巡れる長短の2コース。まず竹野浜からすぐに見えてくるのが黒い外壁の古民家群。砂や潮風から家屋を守るため、杉板を焼いて炭化させた「焼杉板」が使われ、防水や防カビにも有効とされる。

 黒壁の一角は、港を中心に街が形成された歴史を物語り、独特の光景は2023年度の「住まいのまちなみ賞」(住宅生産振興財団)にも選ばれた。

 コースを巡るツアーでガイドを務める中田樹(たつき)さん(30)は「撮影スポットとして人気です」と解説する。中田さんは加西市出身で、4年前に同町に移住。カフェ「Coucou(ククー)」を営みながら観光振興に奮闘する。京都外国語大学でフランス文学を専攻した経歴を生かし、西欧の観光客を案内する。

 さらにペダルを踏むと、田園地帯が見えてくる。中田さんは「意外と外国人に好まれます。特にフランスは農業が盛んで、食に強い関心がある。だから米がどんな環境で育つのか、興味があるようです」と話す。

 海岸線では、海に小山が突き出たような猫崎半島、ジオパークならではの迫力ある岸壁に出合う。とりわけ県天然記念物の「はさかり岩」は、二つの岩柱の間に丸い岩が挟まる奇岩だ。

 中田さんは「自然豊かで、歴史ある竹野には日々発見がある。新たな魅力を発信していきたい」と話す。

 レンタサイクルはクロスバイクで1500円(4時間)から。ガイドツアーは専用フォームから1週間前までに申し込みが必要で、中学生以上8千円、小学生以下5500円。北前館TEL0796・47・2020

    ◇    

 竹野はグルメも豊富。夏はイカ、冬はカニ、また但馬牛も味わえる。休暇村・竹野海岸は、地元食材が満喫できる会席コースを用意。旬の香住ガニのむき身、イカのほか刺し身5種、但馬牛石焼き、ノドグロ塩焼きなどが並び3万円(1泊2食)。カニのフルコース、外国人向けのヴィーガン、ハラールコースもある。

 同休暇村TEL0796・47・1511