神戸新聞NEXT | 読者の報道写真コンテスト | 年間賞 | 2021
神戸新聞社 読者の報道写真コンテスト

読者の報道写真コンテスト

年間賞

年間賞

 2021

 2021年の「読者の報道写真コンテスト」年間賞が決まりました。

受賞者には正賞のほか、最優秀、優秀、奨励の各賞には神戸新聞社から、

努力賞にはニコンイメージングジャパンから副賞の写真機材が贈られます。

表彰式は3月9日、神戸新聞本社で行います。

最優秀賞

最優秀賞

『息を合わせ舞う毛獅子 』

南出尚登

10月一席

 姫路市の大塩天満宮の秋祭りは、屋台の宮入りなど主要な催しが中止でしたが、地域ごとに屋台が巡行しました。普段は街中で舞うことのない毛獅子が登場する場面があり、コロナ禍の影響だと思いレンズを向けました。何十年、何百年と続く伝統行事で、若者が力強く舞う姿に感銘を受けました。獅子頭は映りませんでしたが、若者の生き生きとした表情が伝わる1枚を選びました。退職した5年前、散歩中に出会った野鳥に興味を持ち写真を始めました。趣味で続けていますが、このような評価をいただきとてもうれしいです。今では妻も一緒に雪景色や雲海などの撮影に出かけるようになりました。今後も夫婦で写真を楽しみたいと思います。

優秀賞

優秀賞

『閃光 』

白石正春

12月一席

 滋賀県長浜市の鍛冶工房で撮らせていただいた、鋼の鍛錬をスローシャッターで表現した1枚です。熱した鋼から火花が出るのは初めの一撃だけ。タイミングがずれたり、火花の飛び方がいまいちだったり。満足いく光の軌跡が撮れるまで粘りました。高校時代から約10年写真に取り組み、結婚後しばらく離れた後、25年ほど前から再び熱を入れています。ほぼ毎日、食事や風呂、睡眠以外はカメラに触れていますかね。年間賞は2013、14年の奨励、努力賞に続いて三つめ。最優秀を目標に一層精進します。

努力賞

努力賞

『梅雨晴れ 』

佐藤文彦

6月一席

 野鳥の撮影で訪れた兵庫県神河町での出来事です。帰り道、目の前にどこからかシャボン玉が飛んできました。気になり追いかけると、幼い姉妹が家族とシャボン玉で遊んでいました。思わず「写真を撮らせていただけないか」と声をかけ、すぐに撮影させてもらいました。ちょうど梅雨の合間の好天で、背景にはアジサイもきれいに咲いていました。偶然のたまものですが、受賞はうれしく思います。コロナ禍で街歩きも難しくなりましたが、時代を記録するために、人の営みや自然をこれからも撮影し続けたいと思います。

奨励賞

奨励賞

『天空の世界遺産 』

清瀬さと子

5月二席

 本格的に写真に取り組み5年ほどになりました。玄人の方も多いコンテストで賞をいただき、驚きとうれしさでいっぱいです。写真を通じて地元の姫路城がより好きになりました。家も近いため、いろんな時間や角度で撮っています。八丈岩山から見下ろした今回の写真は前からイメージしていました。当日朝、濃霧だと気づいて急いで山に登り、深い霧の中から天守がいい具合に姿を見せた瞬間を収めました。昨年のベストショットと思えた1枚です。次に狙うは虹のアーチと姫路城。チャンスを逃さないよう一層技術を磨いていきます。

次点

候補作品

『ハロウィンはおいらの出番 』

澤勝弘

10月二席

審査経過

▼伝統行事 舞う喜びに肉薄

 年間賞は12月の受賞作決定後、月例コンテストの一、二席24点から、1次審査として映像写真部デスクが候補作を11点に絞った。2次審査では、編集局の局長、局次長、各部長ら13人が、1位から順に4点、3点、2点、1点を配して投票し、加点方式で4作品を決定した。

 最優秀には総得点で南出尚登さんの「息を合わせ舞う毛獅子」が輝いた。2年ぶりの披露で、路地で待ち望む観衆に見守られる中、迫力ある動きを捉えた1枚。胴幕から一瞬のぞいた氏子の表情にも喜びがにじむ。

 飛び散る火花の光跡が美しい白石正春さんの「閃光」も、複数の審査員が1位票を投じるなど評価を集め優秀賞とした。職人技に撮影技術で対峙し、ものづくりの魅力を見事に表現した。

 努力賞は佐藤文彦さんの「梅雨晴れ」を選んだ。子どもたちの表情や動きに加え、服装と背景の緑、シャボン玉と花も不思議に調和した楽しい作品だった。

 奨励賞の清瀬さと子さんの「天空の世界遺産」は、数少ない霧海の出現に素早く反応し、撮影ポイントの選択も的確だった。

 次点は澤勝弘さんの「ハロウィンはおいらの出番」だった。

 目に見えないウイルスとの闘いは3年目に入りました。

 警戒しながら、ゆっくりと日常を取り戻していく。最優秀作品からは、そんな1年をかみしめながら、制約の中で伝統を守る今の姿を写し込もうとの思いもにじんでいます。

 月例を振り返ると、風景や動物、自然現象を捉えた作品が例年になく多かったように感じました。人混みを避け、身近な風景を見つめ直す機会が増えたのかも知れません。鋭い感性や高い技術による秀作も多く、作者の感動が素直に伝わってきました。それだけに、暮らしの場面がもっと加わるのはいつになるだろうか、そんな思いにも駆られます。

 2021年の応募総数は4871点。過去7年で最多です。スマートフォン撮影の作品も増え、世代を問わず幅広く参加頂きました。

 今回から、副賞の一眼はすべてミラーレスカメラになりました。写真の世界も変革期を迎え、表現のできる幅はさらに広がっていきます。コンテストは1枚勝負。ベストショットを選び抜く力もさらに問われそうです。

(映像写真部長 岡本好太郎)


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