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神戸新聞社 読者の報道写真コンテスト

読者の報道写真コンテスト

年間賞

年間賞

2024

 2024年の「読者の報道写真コンテスト」年間賞が決まりました。

受賞者には正賞のほか、最優秀、優秀、奨励の各賞には神戸新聞社から、努力賞にはニコンイメージングジャパンから副賞の撮影用品が贈られます。

表彰式は3月11日、神戸新聞本社で行います。

最優秀賞

最優秀賞

『サーフィン出きるかな? 』

川口勉

9月二席

 この日はよく晴れていて、東六甲展望台(西宮市)で、朝日をひと通り撮り終わったところでした。「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性」という自然現象は知識としてありましたが、見るのは初めて。慌ててかばんからカメラを取り出し、シャッターを切ったんです。一瞬でした。すぐに形は崩れました。その場で気付いたのは私だけだったでしょう。自然や天文現象に関心があり、中学生の頃から、空を被写体にしてきました。かつては県外の遠方にも撮影に出かけていましたが、親の介護もあって最近はもっぱら近場で。狙って撮影する現象がほとんどですが、こうして偶然に遭遇することも。それが、また楽しい。可能な限り続けていきたいです。

優秀賞

優秀賞

『光の共演 』

木藤将人

2月一席

 雪山でヘッドライトを空に向ける写真は珍しくないですが、そこに天の川や山小屋も入れてみようと思いつきました。撮影は厳冬期。1週間前から積雪量や雪質を確認しつつ、当日の気象条件や天体の位置について下調べを重ねました。さらに、例年より夜の気温が高かったこともあり、比較的耐寒性はなくても、より広角のレンズを使用できるカメラボディを選びました。狙い通りの写真に満足しています。今後も兵庫県最高峰の氷ノ山(養父市)にこだわりを持ち続け、いつか最優秀賞を勝ち取りたいです。

努力賞

努力賞

『追い迫る 』

白石正春

12月一席

 一対一では負けないオオタカですが、カラスは必ず群れで対抗します。オオタカがあっさりと退散することが多い中、この日は珍しい展開になりました。「何や騒がしいな」。反射的にレンズを向けた先で2羽が接近していました。わずか5秒ほど。両者の緊迫した表情が1枚に収まり、これなら応募に値するかなと思いました。カメラを構えない日は週に1日ぐらい。たくさん撮っても出来栄えには自信を持てないことが多いんです。写真仲間から良しあしを自分で決めるなと叱られます。この度の受賞を励みに今後も応募を続けたいと思います。

奨励賞

奨励賞

『みんな踊って 』

板井幹

5月二席

 南あわじ市の沼島であった春祭り。太鼓に合わせて楽しそうに踊る氏子たちに引きつけられ、自分も楽しくなってシャッターを切りました。撮影した約500枚から、被写体との距離が最も近くて表情もよく、迫力が感じられる1枚を選びました。一瞬を絵にする写真の魅力に引かれ、モノクロフィルムから始めて撮影歴は40年以上。シャッターを押す感触や音が大好きで、現在はデジタルカメラに持ち替えて県内の祭りを中心にレンズを向けています。多くの力作の中で自分の作品が認められ、とてもうれしいです。

次点

次点

『滑空 』

荒木恵子

6月一席

その他の候補作品

その他の候補作品

『「一反もめん」になったよー』

藤原美義

6月二席

審査経過

▼自然の造形の壮大さ際立つ

 2024年の応募総数は3816点。年間賞は12月の受賞作決定後、月例コンテストの一、二席24点から、映像写真部デスクが候補作を12点に絞る1次審査を行った。2次審査では、編集局の局長、局次長、各部長ら14人を審査員に1位から順に4点、3点、2点、1点を配して投票、加点方式で4作品を決定した。

 1位票、総得票数ともに最も多く集めた川口勉さんの「サーフィン出きるかな?」が最優秀賞に選ばれた。耳なじみのない「ケルビン・ヘルムホルツ不安定性の雲」という現象を、わずかな時間で消える前にものにした。大阪市内のビル群を遠望するアングルで、自然の造形の不思議さ、壮大さを際立たせた。

 優秀賞には、空いっぱいに広がる天の川を印象的な「自撮り」で演出した木藤将人さんの「光の共演」が選ばれた。厳寒の2月、雲一つない好天を狙い澄まして氷ノ山山頂にアタック。場所が分かるよう、山頂の避難小屋も意図的に写し込んだ。

 努力賞はカラスとタカの空中戦をタイミングよく捉え、鳥たちの感情まで描き出したような白石正春さんの「追い迫る」に。

 奨励賞に選ばれた板井幹さんの「みんな踊って」は広角レンズで被写体に寄り、躍動する人物を臨場感たっぷりに切り取った。

 今年も年間賞が決まりました。気象や天体、自然ものに人の営みと、バリエーション豊かな4作品です。すべてに共通するのは、ただ何かを写しただけではなく、「この写真を見て良かった」と思える要素が入っていることです

 当コンテストもおかげさまで還暦を迎えました。第1回の月例審査は1965(昭和40)年2月。夕刊掲載で始まりましたが、県内から幅広く多数の応募があり、翌年から朝刊掲載になりました。ふるさとの景色の素晴らしさ、世相、風俗を読者のみなさんと一緒に見つめながら長い年月を歩んできました。

 それはそのまま、生活者の視線で捉えた時代の記録であり、記憶です。これからも新たな時代を鋭い視点で切り取ってください。

(映像写真部長 山崎 竜)


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