竹本祥乃(たけもと・よしの)=監督・編集
神戸市在住。医学系の研究技術者として働く傍ら週末監督として20本以上の短編を手掛ける。今春公開された初の長編作「にしきたショパン」でミラノ国際映画祭2021年外国語部門最優秀長編作品賞、トロント国際女性映画祭監督賞など多数受賞。
前田智広(まえだ・ともひろ)=カメラマン
1971年生まれ。明石市出身。京都市在住。映像製作「Light House」代表。映画「ひとくず」(上西雄大監督)でマドリード国際映画祭入選、撮影賞ノミネート。竹本監督との近作「にしきたショパン」でロンドン国際映画祭入選、撮影賞ノミネート。
藤城達也(ふじしろ・たつや)=ドローンパイロット
1977年生まれ。加古川市在住。映像製作「Abendrot」代表。神河町主催のドローン映像コンテストでグランプリ受賞。赤穂市教育員会の赤穂城プロモーション空撮、たつの市の市政ビデオ、宍粟市の精肉店による地元PR動画などを手掛けている。
ドリームチーム結集

今回、撮影隊には素晴らしいメンバーが協力してくれました。
監督・編集の竹本祥乃さんは週末監督として短編映画を撮り続け、数々の国際映画祭で受賞してきた気鋭。近作では西宮市を舞台に若き左手のピアニストを描いた映画「にしきたショパン」がクラウドファンディング発で製作され、3月に元町映画館など各地で公開されるや連日満員御礼の札止めに。その後、大手配給会社に頼らないインディーズ映画としては超異例のシネマ・コンプレックスに進出するなど、現在も快進撃を続けています。筆者は過去に取材で竹本監督と出会い、内省的な世界観に魅せられ、今回ぜひ竹本監督の感性で撮ってもらいたいと思いました。ご自身もピアノやチェロを弾かれ、バッハやショパンが好きだそう。コロナ禍の昨年からリフレッシュに六甲山の布引周辺を散策し始めたといい、すっかりはまったとか。今回の撮影について「馬の背の景色は想像以上に圧巻で、自然の中で撮影する憧れが形になってうれしい」と言ってくれました。

撮影を担ってくださった前田智広さんは、竹本監督が8年間コンビを組み、全幅の信頼を置くカメラマン。筆者も過去の竹本作品からその映像の美しさを知っていましたし、「そりゃあ今回も前田さんとなら絶対いい映像になるよ」という竹本監督の強いラブコールで実現しました。撮影数日前に「きょう山登りに向け、試しに近所の川の土手を上がってみたら、きつかったです。運動不足で無事に上がれるか不安です」とメールをいただきましたが、山上では写真通りのさわやかな笑顔。「迷彩服着て腹出たオッサンに、さわやかもないでしょう(笑)」と照れておられましたが、映像美と同様に優しい人柄がにじんでいます。

そして空撮担当のドローンパイロット藤城達也さん。筆者は、藤城さんがグランプリを受賞された神河町主催ドローンコンテストの作品を、特に気に入っています。自然への愛情と緻密さが感じられ、ぜひお願いしたいと思いました。打ち合わせで初めてお会いしたとき、俳優岸谷五朗似の職人の厳しさ漂う雰囲気に「アカン、これは山上でこちらのゆるさを怒られる」と思い、慌てて当日の進行表など書き出してみたものの、結局現場ではろくな仕切りもできず、皆さんに任せっきりでした。撮影前に「馬の背のダイナミックさを表現したい」とおしゃってくださっていた通り、とても雄大な映像に仕上がりました。
