中村勘九郎・中村七之助のご兄弟に初めてお会いしたのは、いまから5年前の5月の末。渋谷のとあるお稽古場でのことだった。
笑福亭鶴瓶師匠が口演された新作落語「山名屋浦里(やまなやうらざと)」を歌舞伎として上演するための打ち合わせで、その場でお二人のアイデアや希望を伺ったのだけれど、すでに台詞(せりふ)の一部を覚えておられたり、台本の細やかな修正を依頼されたり、とにかく「いい芝居にしたい!」というお二人の意気込みがビシバシと伝わってきたのを覚えている。
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