【庶民の食卓守り続ける】
家業は大正元年創業のこんにゃく製造販売会社。長男だから、先代の父から継ぐのを期待され、応えようと会社に入った翌年、震災に遭いました。
神戸市兵庫区にあった事務所兼自宅は全壊。2階は壊れましたが、駐車場の車が支えになり、妻と生後3カ月の長女は無事でした。
市場や小売店も被災したので、販路の維持と拡大に走り回りました。とにかく会社を守る。それだけでした。
でも、そのころはよく自問しました。「何のためにこの仕事をしているのか」と。自分で人生を選べなかったことに、迷いがあったんだと思います。
救ってくれたのは、震災で苦労しながら頑張っている先輩経営者や取引先です。「食卓から、こんにゃく消したらあかんで」。そう言って励ましてもらい、背中を押されることが何度もありました。
4代目の社長として14年近くがたち、ようやく腹が据わってきた感じです。自分が手掛けるこんにゃくは、受け継がれてきた食文化の一つ。愛情がどんどん強まっているんです。(宮路博志)
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