あの日、山や海に囲まれた小さな町は一変した。東京電力福島第1原発から約8キロに位置する福島県浪江町。2011年、東日本大震災で起きた同原発事故により全町に避難指示が出され、住民2万1千人は町外へ。その後、一部の指示は解除されたが、今も人口の約9割は戻らない。政府はエネルギー政策の「原発回帰」を打ち出し、第1原発で増え続ける「処理水」の海洋放出を目指す。日本記者クラブの取材団に参加し、3年前の20年春に事業を再開した水産加工の「柴栄(しばえい)水産」の柴強(しばつよし)社長(56)を訪ねた。(末永陽子)
■故郷の水産業消したくない
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