神戸大名誉教授の田村正紀さん(82)が気鋭の経営学者だった30代のころ、中内功氏と出会った。1922年生まれの中内氏は太平洋戦争フィリピン戦線から復員し、57年に大阪・千林駅前で「主婦の店ダイエー」を開業。2人が出会った70年代には、流通業界で日本最大の売上高を達成していたが、田村さんが注目する存在ではなかったという。マーケティング論の研究者にとって、中内氏の人物像、経営者としての資質はどう見えていたのか。(聞き手=村上早百合)
日本の経営者で最も起業家精神にあふれた人やと思いますね。起業家精神とは何か。これは僕の専門やけど、五つある。1番目はロマンがある。2番目は未来志向で、絶えず先を見ている。3番目にチャレンジ。4番目はリスクをいとわない。5番目は、たこつぼに入らないというか、八方に目配りすることです。
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