人間の弱さと向き合った/戦中派のバトンつなぐ
戦後を代表する作家の一人で、神戸・阪神間で育った遠藤周作(1923~96年)が亡くなり、25年が過ぎた。戦時中の捕虜生体解剖がテーマの「海と毒薬」、江戸初期の過酷なキリシタン弾圧を描いた「沈黙」など人間の生と死、弱さを突き詰めた文学作品のほか、「狐狸庵(こりあん)」を自称して書いた軽妙なエッセーも人気を博した。ノートルダム清心女子大(岡山市)の山根道公教授は生前の遠藤と交流があった。新型コロナウイルス禍や格差の拡大などで混迷する現代に、作品を読み直す意味について尋ねた。(直江 純)
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