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パラリンピック出場を目指して鍛錬を続けるパワーリフティングの光瀬智洋=神戸市中央区のゴールドジム新神戸兵庫店(撮影・秋山亮太)
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パラリンピック出場を目指して鍛錬を続けるパワーリフティングの光瀬智洋=神戸市中央区のゴールドジム新神戸兵庫店(撮影・秋山亮太)
これまでの人生を振り返り、パラリンピックへの思いを語るパワーリフティングの光瀬智洋=神戸市中央区(撮影・秋山亮太)
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これまでの人生を振り返り、パラリンピックへの思いを語るパワーリフティングの光瀬智洋=神戸市中央区(撮影・秋山亮太)

 パワーリフティング男子59キロ級の日本代表で兵庫県尼崎市出身の光瀬智洋(シーズアスリート)は、ブレークダンスで養った自慢の上半身を武器に東京パラリンピック出場を視界に捉えている。1月の全日本選手権で日本記録を樹立するなど急成長中。幼少期から俳優の夢を掲げる28歳は「スポットライトを浴びる舞台で輝きたい」と地道なトレーニングを神戸で積む。

 短大の入学式を控えた2012年4月1日の早朝。JR三ノ宮駅のホームに転落し、肋骨(ろっこつ)や背骨などを折って車いす生活になった。「一生歩くことができない」と医師に宣告されたが、入院中に車いすバスケットボールを題材にした漫画「リアル」に感銘を受け、障害者スポーツを始めた。球技よりも、練習の一環で取り組んだ筋力トレーニングにはまり「団体競技は苦手だけど、重りが上がるのが快感だった」とベンチプレスを100キロ挙げるまで鍛錬した。

 16年11月に日本スポーツ振興センター主催の発掘プロジェクトに参加したことが転機に。パラリンピックのロンドン、リオデジャネイロ両大会を連覇した故シアマンド・ラーマン(イラン)が310キロのバーベルを押し上げる映像を見て「健常者の記録も超えられるロマンがある」と競技のとりこになった。

 18年のアジアオセアニア選手権で初めて日本代表に選ばれ、翌年は世界選手権に初出場し12位。今年1月の全日本選手権で連覇し、特別試技で141キロの日本新記録をマーク。若手の有望株として頭角を現している。

 摩耶兵庫高時代に出合い、神戸・三宮のセンター街や地下鉄名谷駅前の広場で披露した「ブレークダンス」が原点だ。逆立ちや頭を支点に回転するなど全身を使ったダイナミックな踊りが特徴でパリ五輪に採用された競技を通じて「特に手首と肘。力を入れる感覚など体の使い方は今にすごく生きています」。

 参加標準記録はすでに突破。世界ランキングを8位に近づけることが東京大会への近道となる。26日に英マンチェスターであったワールドカップ(W杯)では日本人最高の140キロを記録して5位入賞を果たし「ランキングを12位に上げられたこと、自分の技術が世界基準の判定で通用することが確認できた」と自信を深めた。最終選考の舞台となるドバイW杯で「さらに記録を伸ばし、東京の出場権を狙いたい」。

 6月まで戦いは続く。(尾藤央一)

【こうせ・ともひろ】尼崎市出身。同市立立花西小、南武庫之荘中時代は柔道、野球、ボクシングを経験。定時制の摩耶兵庫高ではブレークダンスに没頭した。短大の入学式前に大けがを負い、車いす生活に。2016年にパラパワーリフティングを本格的に始め、19年の世界選手権で59キロ級12位。20年に全日本選手権で初優勝した。神戸市中央区在住の28歳で趣味は料理。シーズアスリート所属。

【パワーリフティング】下肢に障害がある選手がベンチプレスで挙げた重さを争う競技。台上であおむけになり、脚にベルトを巻いて固定。バーベルを持ち、胸まで下ろして一瞬止めた後、持ち上げる。途中でバーベルが傾いたり、下がったりすると失敗。試技は3回。男女とも10階級ある。東京パラリンピックの出場権は参加標準記録を突破した世界ランキング8位以内の選手に与えられるほか、推薦枠もある。

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