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阪神・淡路大震災のがれき処理でアスベストによる中皮腫を発症し、死亡した明石市職員の男性の遺影を手に、勝訴判決後の会見に臨む遺族ら=26日午後2時49分、神戸市中央区橘通3
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阪神・淡路大震災のがれき処理でアスベストによる中皮腫を発症し、死亡した明石市職員の男性の遺影を手に、勝訴判決後の会見に臨む遺族ら=26日午後2時49分、神戸市中央区橘通3

 阪神・淡路大震災直後にがれき処理に従事し、アスベスト(石綿)が原因の一つとされる悪性腹膜中皮腫で亡くなった兵庫県明石市職員男性の妻が、公務災害として認めなかった地方公務員災害補償基金(東京)の処分取り消しを求めた訴訟の判決で、神戸地裁の泉薫裁判長は26日、「震災の影響を正しく評価しておらず、裁量権の逸脱や乱用がある」とし処分を取り消した。

 震災復旧を担った公務員について、裁判所が石綿被害の公務災害を認めたのは初めて。

 原告は明石市の島谷弘美さん(57)。同市職員だった夫和則さんは震災後、倒壊した建物のがれき回収にあたった。2012年に悪性腹膜中皮腫を発症し、13年に49歳で死亡。がれきには石綿が含まれたため、公務災害の認定を求めたが、同基金は14年、疾病との因果関係が明確でないとして「公務外の災害」とした。

 判決で泉裁判長は、震災後の1年3カ月間、和則さんが日常的に石綿を吸い込む業務状況だったと指摘。他に有力な発症原因がないことなどから、発症と業務に因果関係があると認めた。石綿飛散に関する客観的データがないことも、当時の状況からやむをえず「被災職員の不利益に扱うべきではない」とした。

 裁判長は、和則さんが公務災害の認定基準を満たしてはいないとも指摘。その上で「公務災害か否かは基準を機械的に適用することなく、業務の特性や被災当時の環境などを踏まえて判断すべき」とし、同基金の訴えを退けた。

 

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