■人と自然を「コスト」から「資本」へ/地域をつなぎ、四大課題解決

 「これまでの社会で、人と自然はコスト扱いされてきた」。この言葉に接したとき、「人件費」「原料費」という用語に何の疑問も持たなかった経済記者として、目を見開かされる思いがした。唱えるのは、「循環型の社会デザイン事業」を展開するアミタホールディングス(京都市)会長、熊野英介さん(69)。経済発展が格差や自然破壊を生んできた資本主義を組み立て直し、発展するほど自然も人間関係も豊かになる社会が実現するまで、実はもう一歩のところまで来ているという。事業家ながら哲学者然とした熊野さんと、京都の町家で問答した。(広岡磨璃)

 -リサイクルに始まり、45年以上、一貫して環境や循環型社会にまつわる事業を続けています。

 「アミタは『経済大国から循環大国へ』を目指し、『自然資本』と『人間関係資本』の増幅に資するビジネスを展開する会社です。1979年から資源リサイクル事業に取り組み、1992年に姫路市網干区で開所したリサイクル工場は、現在『姫路循環資源製造所』として、産業廃棄物を原材料にセメント原燃料などを製造し、天然資源の代替物として供給しています。森林や水産物の認証審査、持続可能な経営への移行戦略支援へも事業を広げました」