額に汗がにじんできた。ゴールドラッシュに沸いた坑道跡の「熱」は今も冷めることはない。探検気分に浸りつつ、計測器を見ると室温30度、湿度80%とある。霧がかった道ではさむえ姿の人たちが行き交う。

 姫路市安富町皆河にある日本唯一の坑道ラドン浴施設「富栖の里」。坑道内はラジウムから生成された微量のラドンが充満し、免疫力を高めるという。旧富栖鉱山で昭和期に金を産出。最盛期には住宅120戸が立ち並び、映画館もあった。その後、金が掘り尽くされ、坑道跡は2010年、ラドン浴施設に生まれ変わった。総延長600㍍の坑道は「癒やしの道」となり遠くは関東からも人が訪れる。

坑道ラドン浴施設でくつろぎ、笑顔を見せる利用者=姫路市安富町皆河

 坑道内の少し広い空間にベッドが並ぶ。記者も横たわり、お気に入りの本を開いた。間もなく眠くなり、1時間熟睡。すっきりして外へ出た。施設を開設・運営する亀井義明さん(79)=赤穂市=は「微弱な放射線を出すラドンガスを吸い込むと自然治癒力が増す」と話す。