下界は記録的暖冬でも、六甲山上は別世界だった。標高900㍍付近では、背負ったリュックが雪で真っ白になり、現場に置いたセンサーカメラは凍りついた。そんな厳しい環境の中、生き物の息づかいを見つけると純粋な感動があった。わざわざ1年で最も寒い時期を選び、夜な夜な山上を訪ねる経験をした人はそう多くないだろう。〝日本一の都市山〟が見せた冬ならではの厳しい顔。寒さに震え、締め切りに追われながら、動物の姿を探した1カ月を振り返る。(小林良多)

生き物の姿を探す取材の拠点にさせてもらった六甲山スノーパーク。閉園後のゲレンデ整備は毎夜続いていた=2月6日、神戸市灘区六甲山町

■氷点下の夜