■茅の利用 新温泉町、神戸市北区
壮大な穂波の向こうで、小さな人影がせわしなく動く。昨年11月中旬、兵庫県新温泉町の上山高原。木々の葉が落ち、冬の足音が近づいていた。カサカサッ、シャッ、シャッ。住民らがススキを手早く束ねる。茅(かや)刈りは雪が降るまでが勝負だ。
鳥取県との県境に位置する上山高原は、ブナなど落葉広葉樹林と人が維持する草原が組み合わさり、生物多様性の高さが知られる。
環境を生かした地域活性化に取り組むのは地元のNPO法人「上山高原エコミュージアム」。牛の飼料などを得る採草地として活用されたかつての環境を取り戻そうと、2002年度から草原再生を進めてきた。