延長25回の激闘があった第19回大会の開会式=昭和8(1933)年8月、甲子園球場(多田克さん所蔵)

 試合時間4時間55分。その激闘は今も高校野球史に刻まれる。1933(昭和8)年8月19日。甲子園球場(西宮市)で行われた第19回全国中等学校優勝野球大会準決勝。明石中(現明石高)と中京商(現中京大中京高)の一戦は延長二十五回に及んだ。

延長25回、中京商が1点を取り熱戦に終止符を打った=昭和8(1933)年8月20日付朝刊

中京商ー明石中の準決勝戦を報じる夕刊紙面。8回までの試合展開を掲載している=昭和8(1933)年8月19日付夕刊

 両校無得点のまま緊迫の展開が続く。九回裏、明石中は無死満塁の窮地を脱し、中京商は延長十五回表、2死満塁のピンチをしのぐ。双方の攻防を固唾をのんで見守るファン。当時、十六回までしか表示できなかった甲子園のスコアボードは十七回以降、簡易の得点板が継ぎ足された。