ノーリツ創業者、太田敏郎が残した日記には戦後社会を歩む中で身に付けた経営哲学がつづられている。〈小さな会社が大手と競争する為(ため)には/簡潔さ、集中力、スピードが大事である〉〈停滞する日本経済の活路を開くには/ダイナミックな起業家が数多く現れること/その為には規制や慣習を打破する勇気と行動力が必要である〉

「神戸復興の推進力となる」などと記したノーリツ創業者太田敏郎氏の日記

 これはまさに太田の人生そのものだ。海軍兵学校で敗戦を迎え、1950(昭和25)年、明石・人丸前でタイル仕上げの風呂釜「能率風呂」の発明者と出会う。お風呂は人を幸せにする。今に至るノーリツの企業理念を見いだして起業し、隆盛させた。若き日の破綻や社長解任など幾多の難局を乗り越えられたのも、まさに勇気と行動力があったからにほかならない。

■問われた真価