衣装ケースと最低限の生活用品を車に放り込み、徳島から鳴門海峡を越える。渡った淡路島で目に付いた警察署に駆け込み、かつての「敵」に助けを求めた。焦りでほとんど記憶はない。それでも決死の夜逃げが、自らの運命を変えたことは分かる。2021年春、一人の暴力団組員が足を洗い、カタギの世界で生きる決意をした。