審査委員長講評
物事を正しく理解、判断する力

兵庫県ＮＩＥ推進協議会　竹内弘明会長

今回のコンクールには昨年より２千点以上多い、７５７５点の応募がありました。応募してくださった多くの児童・生徒の皆さんに心よりお礼申し上げます。どの作品もとても素晴らしく、心に響くものがありました。

取り上げられている記事の題材はさまざまです。身近な話題から国際問題、旅先で読んだ新聞についての感想文もありました。多くの児童・生徒の皆さんがこうした社会の問題に真摯（しんし）に向き合っていることに、頼もしさを覚えます。

昨今、インターネットの普及もあり新聞を読む人が減ってきています。交流サイト（ＳＮＳ）は誰もが簡単に素早く情報を入手できるのですが、情報の信頼性や、自分が見たい情報しか見えなくなるフィルターバブルといった課題もあります。

一方、新聞を広げるといろいろな記事が目に飛び込んできます。新聞を読むことでさまざまな情報に触れ、物事を正しく理解、判断する力も身につきます。豊かな人生を送るために、ぜひこれからも新聞を読んで考えることを続けてほしいと願っています。

部門ごとに私たち審査員の感想を述べさせていただきます。

【Ａ部門＝小学１・２年生】

家族と話をしながら社会に向き合い、自分事として捉える作品が上位に並びました。着眼点が良く、文章もしっかりと書けています。生き物を擬人化してその気持ちを推し量る作品が今年もありました。Ａ部門ならではの視点は、とてもほほ笑ましいです。

【Ｂ部門＝小学３・４年生】

身近な社会問題を取り上げ、現地に出向いたり、調べたりする中で新たな発見に出合う。そんな新鮮な驚きに満ちた感想文に、つい引き込まれました。子どもたちの気づきの力に素晴らしさを感じます。

【Ｃ部門＝小学５・６年生】

課題を挙げるだけでなく、解決に向けた取り組みにつなげる作品が多く、頼もしく思いました。「記事を読むまで知らなかった」との記述も印象的で、新聞が「窓」になってそこから新たな広い世界を見いだしていくのだと思いました。

【Ｄ部門＝中学生】

社会の課題に真摯に向き合い、自分の行動とともに社会へのメッセージを発信する作品が多かったです。一方、旅先での地元紙の記事や、小さな記事に目を留めた作品もあり、中学生の優しさを感じました。

【Ｅ部門＝高校生】

高校生の視点は鋭く、課題に対する自身の考え、さらには自分が今後どのように取り組んでいくかということまで書かれています。完成度が高く、読む方も考えさせられる作品が多くありました。

こうして感想文を読ませていただきますと、子どもたちの成長の過程が見えるように思います。小さい頃から社会の出来事に関心を持ち、課題に向き合い、自分事として考えることによって、やがてこの子どもたちが大人になり、よりよい社会をつくっていってくれるのかと思うと、とても心強く思うとともに楽しみでもあります。

あらためてご尽力いただきました保護者の皆さま、先生方、神戸新聞社さま、関係の皆さまに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。