ひょうご「新聞感想文コンクール」

戦時下の障害者

大西(おおにし)ほのか
 加古川市立義務教育学校両荘みらい学園9年

7月に、養護学校との交流会が開かれた。クラスで出し物を考えたとき、本当に一緒に楽しむことができるのかと不安になった。けれど、交流会では私たちも養護学校のみんなも笑顔で、とても楽しい時間を過ごすことができた。

ある日、「戦時下で障害者はどう生きたのか」という新聞記事を見つけた。これまで学校で平和学習を重ねてきたが、戦争中の障害者について考える機会はなかったので、気になって読むことにした。

白畠庸さんは、現在88歳の視覚障害者だ。7歳の頃に自転車の事故で左目を失明し、8歳だった1944年に盲学校に入学した。当時の授業は、戦闘機の飛行音を聞き分ける訓練だった。陸軍が監修したレコード「敵機爆音集」を繰り返し聞かされ、国の役に立つようにと飛行音を覚えさせられたそうだ。8歳といえば、小学3年生だ。私は、障害のある子供までもが、戦争のために学校でこのような訓練をさせられた事実に驚きを隠せなかった。障害者は兵士として戦場へ行くことができないため、防空監視要員として動員する狙いがあった可能性があると記事には書かれていた。健常者より聴覚が優れていると考えられ、石川県では実際に防空監視に従事した例もあったそうだ。

私が一番驚いたのは、徴兵が免除されていた障害者は、「ごくつぶし」や「役立たず」と言われ、差別の対象となっていたことだ。弱い立場の人が守られず、生と死を分けるような状況でも差別があったことに強い憤りを感じた。しかし、よく考えてみると、私も交流会をする前は、障害のある子たちと交流するなんて難しいと思い込み、勝手に壁を感じていたように思う。実際には、歌を歌ったり、クイズを出し合ったりなど、お互いに工夫することによって、楽しい時間を過ごせたというのに。私は、この壁が差別につながるのかもしれないと思った。平和な今の時代、私たち若い世代がもっと平等な世の中について考えていかなければいけないと思った。

戦時下では、障害のある子供たちが、学童疎開から取り残される事態も起きたそうだ。1944年6月、学童疎開が閣議決定され、都市部の児童40万人以上が地方へ移された。しかし、肢体不自由児が通う光明学校の子供たちは、「手に負えない」と取り合ってもらえなかった。結局、校長先生が自ら疎開先を探し出し、間一髪のところで助かったそうだ。この事実からも、障害者の命がどれほど軽んじられていたかがわかる。

私は今回初めて、障害をもった子供たちが、戦時下をどのように生き抜いたのかを知った。白畠さんは、平和だがどこかよそよそしさを感じる今の時代を「本当に助け合える社会になっているのだろうか」と問われた。誰もが平等で、幸せに暮らせる社会を作るために、私たちがするべきことはきっともっとたくさんある。

(8月13日付の読売新聞・夕刊から)

神戸新聞社賞
部門 受賞者
学校名・学年
作品の題名
神戸新聞社賞 小学校
1・2年
岩本 珠璃
赤穂市立坂越小・1年
おばあちゃんちにあったしゃしん
小学校
3・4年
山川 詩七
神戸海星女子学院小・3年
ありがとうの気持ち
小学校
5・6年
宮崎 りの
たつの市立揖保小・6年
バスで元気に
中学生 橋本 のぞみ
加古川市立義務教育学校両荘みらい学園・9年
模擬原爆の存在
高校生 細川 咲希花
県立洲本高・1年
輝く地域の絆
兵庫県知事賞
部門 受賞者
学校名・学年
作品の題名
兵庫県知事賞 小学校
1・2年
鷹取 遵
加西市立宇仁小・2年
たのしくてしあわせなきゅうしょくのために
小学校
3・4年
庄野 敬浩
たつの市立小宅小・3年
赤字ローカル線を守ろう
小学校
5・6年
藤本 敦至
小野市立小野小・6年
最後までいつも通りに
中学生 大西 ほのか
加古川市立義務教育学校両荘みらい学園・9年
戦時下の障害者
高校生 アリ ジュリ
姫路女学院高・3年
命を守る架け橋 ガーナと日本の協力

学校賞

学校賞
学校賞
  • ・小林聖心女子学院小学校・中学校
  • ・愛徳学園高等学校

▽小学校1・2年

審査員特別賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
審査員特別賞 神戸海星女子学院小学校1年 髙橋 穂乃香 たべもののもんだい
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
西宮市立南甲子園小学校2年 今井 のどか 甲子園100さいおめでとう
姫路市立大津茂小学校2年 照井 響希 気しょうえいせいひまわりのみらい
入選
入選 神戸海星女子学院小学校2年 伊賀 莉子 亀田さんのまりも
西宮市立夙川小学校2年 福田 知世 原風景への誘い十選
尼崎市立大島小学校2年 棟田 心晴 パラリンピック
加古川市立氷丘南小学校2年 田原 ねね花 なつ休みのべんきょう
高砂市立米田西小学校2年 中岡 航大 タコ大すき

▽小学校3・4年

審査員特別賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
審査員特別賞 姫路市立白浜小学校4年 生越 圭悟 備えるってどういう事?
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸市立舞多聞小学校4年 三輪 英佑 食品ロスをへらすためにぼくができること
高砂市立米田西小学校4年 中岡 春翔 食べてみたい 大山スイカ
入選
入選 神戸市立泉台小学校3年 髙須 光夢 私の妹
福崎町立田原小学校3年 松岡 夕景 新しゅのきょうりゅう発見
神戸海星女子学院小学校4年 草場 結加 一歩をふみ出す大切さ
光の子どもクリスチャンスクール4年 金子 八恵 みうはみう
姫路市立安室小学校4年 髙田 康介 「アゲアゲ」応えん

▽小学校5・6年

審査員特別賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
審査員特別賞 神戸市立妙法寺小学校5年 中嶋 大智 農業の未来
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
三木市立広野小学校5年 新藤 彩羽 こころの病気との向き合いかた
神戸海星女子学院小学校6年 笠谷 莉央 多様性の象徴
入選
入選 神戸市立泉台小学校5年 城山 航汰 サーモンと海を守れ ぼくができること
神戸海星女子学院小学校5年 鍋島 光都 コーヒーまだ楽しめます
関西学院初等部5年 有本 眞麻 地震に対する正しい知識を持つ
姫路市立水上小学校6年 寳川 桃 カラー写真が教えてくれた戦時中の生活
たつの市立揖西東小学校6年 嶋津 沙愛 水のこわさ

▽中学生

審査員特別賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
審査員特別賞 小林聖心女子学院中学校1年 栁原 英恵 差し迫る美ら海の危機
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸市立福田中学校1年 望月 咲歩 国語力の低下
姫路市立城乾中学校3年 守田 惇冶 社会に広がるデザイン
入選
入選 賢明女子学院中学校1年 大西 倖帆 AIと想像力
賢明女子学院中学校3年 野中 麻央 心の花束
兵庫県立大学付属中学校3年 前田 莉玖 災害時こそ
小野市立小野中学校3年 水池 綾心 「+967」
小野市立小野中学校3年 渡邊 裕珂 グッドルーザーであれ

▽高校生

審査員特別賞
学校名・学年 受賞者 タイトル
審査員特別賞 兵庫県立網干高等学校2年 福永 さくら 忘れてはいけない過去
優秀賞・販売店会賞
優秀賞・
販売店会賞
神戸市立摩耶兵庫高等学校2年 垣内 梨亜 父の号泣 忘れたい、でも忘れたくない
賢明女子学院高等学校2年 清水 彩花 いまを生きる私たち
入選
入選 姫路女学院高等学校1年 米澤 夏緒 平和について考える
神戸星城高等学校2年 春野 仁美 繰り返さないために
兵庫県立津名高等学校2年 繁森 慧美 「おさがり」という名のつながり
賢明女子学院高等学校3年 菅野 柚希 イメージ
姫路女学院高等学校3年 林田 真心 スポーツの力

(敬称略)

学校参加校(109校)

【小学校=46校】

 神戸市=藍那、泉台、渦が森、神の谷、小寺、長坂、御影、宮本、竜が台、若草、甲南、神戸海星女子学院▼尼崎市=大島、七松▼西宮市=神原、名塩、仁川学院▼宝塚市=関西学院初等部、小林聖心女子学院▼猪名川町=光の子どもクリスチャンスクール▼加古川市=東神吉南▼高砂市=荒井、曽根、米田、米田西▼稲美町=加古、天満東▼三木市=広野▼小野市=小野▼加東市=東条学園▼多可町=八千代▼姫路市=安室、伊勢、豊富、花田、水上▼たつの市=揖保、小宅、揖西東、神部、龍野、御津▼福崎町=田原▼神河町=神崎▼豊岡市=日高▼洲本市=大野

【中学校=38校】

 神戸市=王塚台、小部、神戸生田、筒井台、雲雀丘、福田、竜が台、愛徳学園、神戸山手女子▼尼崎市=園田学園▼西宮市=関西学院中学部▼宝塚市=小林聖心女子学院、雲雀丘学園▼猪名川町=光の子どもクリスチャンスクール▼明石市=衣川▼加古川市=氷丘、両荘みらい学園▼高砂市=荒井、鹿島、宝殿▼播磨町=播磨南▼三木市=三木▼小野市=旭丘、小野▼加東市=社、兵庫教育大付属▼多可町=加美、八千代▼姫路市=家島、城乾、東光、坊勢、賢明女子学院、姫路女学院▼上郡町=兵庫県立大付属▼香美町=小代▼洲本市=蒼開▼淡路市=津名

【高校=25校】

 有馬、伊川谷、神戸甲北、長田、神戸市立科学技術、神港橘、摩耶兵庫、愛徳学園、神戸朝鮮、神戸星城、県立西宮、関西学院高等部、小林聖心女子学院、雲雀丘学園、光の子どもクリスチャンスクール、明石南、三木北、網干、日ノ本学園、姫路女学院、賢明女子学院、山崎、神崎、洲本、津名

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