わなで捕獲されたハクビシン=神戸市立医療センター中央市民病院(同病院提供)
わなで捕獲されたハクビシン=神戸市立医療センター中央市民病院(同病院提供)

 神戸市中央区のポートアイランドにある神戸市立医療センター中央市民病院で10月、野生動物のハクビシン1頭が捕獲されていたことが分かった。管理業者が痕跡を見つけ、わなを仕掛けていた。ハクビシンは感染症を媒介することがあるが、医師や患者が使うエリアへの侵入は一切確認されていない。だが、橋とトンネルでしかつながっていない人工島に、なぜハクビシンが?(霍見真一郎)

 ハクビシンは、タヌキのような外見の小動物で、家屋などに侵入しふんや尿を排せつするため、異臭やダニの発生など健康被害をもたらすことがある。また同市農政計画課は「かみついたりひっかいたりするだけでなく、感染症を媒介するおそれもある」と警告し、市内で通報件数が増えた2023年10月から捕獲に乗り出しているという。

 同病院がハクビシンの痕跡に気付いたのは、今年8月14日。改修工事の事前調査のため本館3階の天井裏に入った際、数カ所に小動物によるとみられるふんや体毛が発見された。すぐに侵入経路を探したところ、16~17年に北館を増設した際にできた隙間が見つかった。建築基準法の制約で、それまで壁の内側にあった配管が金網で囲われる仕様に変更となり、一部が密閉できていなかった。

 同市の鳥獣相談ダイヤルに電話し、箱わな二つを9月8日に侵入経路と推定される場所に設置した。しかし、なかなか捕獲されず、同月12日にふんなどが見つかった天井裏に移設。10月30日になってようやく、わなで死んでいる体長50~60センチの個体を発見した。

 同病院では1日平均入院患者が663人、外来患者は1734人(いずれも24年度)いるが、目撃証言はなかった。ふんなどが発見された天井裏は、防火のため数十平方メートルで仕切られており、ほかの場所で痕跡は見つからなかった。発見場所の下にある中央材料滅菌室は遮断されており、空気はダクトから引き入れられていた。病院は、ふんなどを清掃し、侵入したとみられる隙間をふさいだ。

■24年度は神戸市内で219頭捕獲

 クマの出没が社会問題化しているが、神戸市でも野生動物の通報が相次いでいる。市農政計画課によると、24年度だけでも市内で219頭のハクビシンが捕獲され、うち19頭が中央区だった。今年4月や5月には同区山本通や北野町からも通報を受けた。担当者は「市内どこででも出没すると考えていい」と話す。

 ただ、市港湾局神戸港管理事務所によると、ポートアイランドは橋とトンネルでしか渡れず、下水道管も密閉された空間に設置されているため、野生動物が侵入するのは考えにくいという。島内にある「神戸どうぶつ王国」は、アライグマはいるがハクビシンは飼育していないという。貨物船のコンテナ経由も考えられるが、目撃証言はない。

 中央市民病院の沼田良一経営企画課長は「安心して利用いただけるよう、これまで以上に野生動物を含め衛生管理に対する意識を高めていきたい」と話す。

 神戸市の鳥獣相談ダイヤルは、078・333・4408(年中無休)。