参院選で与党が物価高対策に掲げる一律2万円の現金給付。このうち「住民税非課税世帯の大人に2万円加算」の公約を巡り、神戸市議がX(旧ツイッター)に投稿した「年金受給者は標準的に非課税」との言説について、神戸新聞の「ファクト検証」情報募集コーナーに真偽の検証依頼があった。検証すると、神戸市内の年金受給者のうち「非課税者」は約6割、「課税者」は約4割だった。
神戸市会の会派「躍動の会」に所属する川口賢市議は2日、日経新聞電子版の記事「給付金は事実上の『年金』 高齢者=弱者ではない」を引用する形で投稿。非課税世帯への手厚い給付によって現役世代との間に不公平が生じると訴える中で、こう記している。
「年金受給者は控除により非課税になりやすく標準的には非課税」
川口市議本人に取材すると、「標準的」は「標準的な年金(モデル年金)」を意味するのであって「大半の高齢者が非課税という意味ではない」と説明した。
厚生労働省は、男性の平均的な収入で40年間就業した場合に夫婦2人で受け取り始める年金を「標準的な年金」として示しており、そのモデルは非課税になる。つまり、「年金受給者は標準(モデル)的には非課税」は事実の認識として正しく、その意味では、現役世代より非課税者が多い実態もうかがえる。
ただ、神戸新聞への調査依頼のように「標準的に非課税」の意味を「だいたいが非課税」などと捉える人もいる。神戸市によると、年金受給者44万240人(今年1月時点)のうち、住民税非課税者は57・4%と6割を下回っており、「だいたい」と捉えるには微妙な割合だ。
これらを踏まえると「標準的」との言葉は誤解を招きかねないとも言える表現だが、事実関係に誤りはないため、言説は「ほぼ正確」と判定した。(参院選取材班)