日本の災害対策は、多くの省庁にまたがっている。
防災の所管は内閣府防災担当だが、国土交通省やその外局の気象庁、総務省の外局の消防庁などもそれぞれの役割を担う。さらに実働部隊を出す防衛省警察庁なども絡む。
被災後の復興も、東日本大震災で復興庁という10年間の時限組織ができたが、現実には各省庁の縦割りだ。
日本は地震、噴火、風水害などあらゆる災害の危険に常に直面する災害多発国である。しかも今、南海トラフや首都直下地震、巨大噴火など国の存立が脅かされかねない災害の危険性が迫る。
災害対応は自治体主体のボトムアップであり、主人公は一人一人の市民であるという前提は変わらないが、国として防災から復興までを見据えた災害対策のグランドデザインが欠かせない。「防災省」を創設し、兼務でしかない防災担当相も専任として、災害多発国にふさわしい体制を整えるべきだ。
組織をつくっても対策がすぐに進むわけではない。しかし、防災、復興を担う専門的な人材を育成していくためにも、災害から国民の命を守る覚悟を形で示さねばならない。