大槻祐希未さん (17)
兵庫県立長田高校2年/神戸市垂水区
大槻祐希未さん (17)
兵庫県立長田高校2年/神戸市垂水区
「語りかけるように弾いてみて」。先生の言葉です。初めて津軽三味線を聞いたのは、宮城県に住んでいた小学2年生のころ。繊細な音色が忘れられず、翌年教室の門をたたきました。5年生で神戸へ引っ越しましたが、ずっと三味線は続けています。
ふるさとを襲った地震は、今も忘れられません。塩釜市に住む友人と連絡が取れず、1週間ほどしてようやく無事が分かりました。被災地の状況を知り、自分にできることはないかと考えた時、「三味線しかない」と思うようになりました。
思いが形になったのは昨秋。ボランティアとして名取市の仮設住宅を回りました。宮城の民謡「大漁唄い込み」を弾くと、住民の方も一緒に歌ってくれました。見渡すと、笑みを浮かべる人もいれば、涙を流す人もいる。故郷を失った方々の思いを強く感じました。
母は、阪神・淡路大震災で一時ホテル住まいを送ったそうです。私は生まれる前なので、話で聞いただけですけど。でも、三味線で大好きな兵庫と宮城の懸け橋になりたい。今年の1・17では、HAT神戸で演奏しました。「震災を忘れないで」と、三味線に「声」を乗せて。今度は塩釜の仲間と一緒に、神戸で弾いてみたいです。(聞き手・風斗雅博)