長尾高明さん (58)
明石市立天文科学館館長/明石市
長尾高明さん (58)
明石市立天文科学館館長/明石市
明石の天文科学館は、地震で大きな被害を受けました。当時、私はプラネタリウム投影機の整備を担当していました。家族の無事を確認し、市内の自宅からすぐに館へ。壁にはたくさんの亀裂が入り、中はめちゃくちゃ。投影機が無事だったのが唯一の救いでした。
復旧には長い時間がかかりました。館内にお客さんがいないのは寂しいものです。私は毎日、投影機を点検しながら再開の日を夢見ていました。その頃、窓から見た明石の街は、屋根を覆うブルーシートで真っ青でした。
それから3年2カ月。待ちに待った再出発の日、来館者の長蛇の列ができました。中には花束を持ってきてくれた人もいました。にぎわう館内の光景を見て、大勢の人に愛される施設を目指そうと、あらためて思いました。
今の天文科学館の原点は震災です。風化を防ぎ、教訓を伝える。20年となる来年は、1月17日から地球科学の視点で防災を考える企画展を開きます。地震、噴火、豪雨災害がなぜ起きるのか。原因を理解することは、防災意識を高め、命を守る上で大切なことだと思います。(聞き手・中西大二)
明石市人丸町、明石市立天文科学館