大西幸仁さん (53)
画家、元漫才コンビ「ちゃらんぽらん」/尼崎市
大西幸仁さん (53)
画家、元漫才コンビ「ちゃらんぽらん」/尼崎市
1・17は僕の34回目の誕生日。当時の実家は阪急塚口駅南の銭湯でね。父と嫁さん、娘と一緒に、強烈な揺れに布団をかぶって歯を食いしばった。全員の無事が救いやった。
自宅は半壊やったけど、翌日から水が出た。営業を再開したら被災者にものすごい喜んでもらえてね。自分も力になりたくて避難所で漫談ですわ。劇場の華やかな雰囲気とはえらい違い。でも爆笑やった。「ありがとう。また来てなぁ」。見送ってくれた被災者の笑顔は忘れられん。「絶対に笑いのてっぺん取ったる」と誓って芸と向き合えた。それが2000年の上方漫才大賞になったんですわ。
でも、いちずに思い詰めたのと、忙しくなり過ぎたのが重なって、心身ともボロボロになってね。6年前に本来の自分に帰ろうと、芸能界から引退しました。今は太陽をテーマにした作品づくりの日々。人と人が希望を持って、照らし合うような世の中になってほしいからね。雅号も「太陽」。震災を風化させず、子どもに明るく生きてもらいたくて始めた西宮・越木岩(こしきいわ)神社の新春展覧会はもう16回になりました。
実家の風呂屋も、今は美術館に様変わりして、すっかりどっぷり画家人生ですわ。「ちゅ~とはんぱ(中途半端)」やあらしません。(宮路博志)
尼崎市南塚口町2