元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖

ホストやキャバクラ、スナックから大人のお店まで、さまざまなナイトワーカー情報がインターネットには溢れています。これらに目を通すとなんとなく「夜の世界を知った気分」になれますよね。しかし詳しいルールや給料システムなどの認知度は低く、未だ誤解されている部分が多いです。

例えば、働けば全員が月収100万円以上手に入ると思われており、セクシー女優は誰でもデビューが可能とか、キャバクラは座って酒を飲む“だけ”の仕事など……。間違いだらけの認識が世の中には蔓延しています。

この情報の通りならどれだけ良い業界かと思うこともありますが、実際はそこまで天国でもありません。お金を稼ぐのって本当に大変で、夜職といえど社会人としての常識がなければ淘汰されるため、昼の世界とさほど変わらない部分も多いのです。

■シフト!勤怠!礼儀!結局「常識」が必須

夜の世界はちょっとくらい非常識でも許されます。挨拶できない、嘘つき、常にタメ口、単純に性格が悪くても稼ぐことは可能でしょう。頭がブッ飛んでいる方が売れるなど、本当に特殊な世界なので(苦笑)

しかし、“ブッ飛び具合”の方向を間違えていると生き残ることはできません。あまりに常識知らずだとお客さんからウケても働く仲間からは確実に鬱陶しがられます。一匹狼でも大丈夫な商売ではあるけれど、ヘルプや裏方スタッフの助けなしで仕事はできないため、「あの人に手を貸したくない」という人間が続出すれば、職場にいられなくなるのは当然のこと。いくら数字を作っても、礼儀は基本中の基本です。

また提出したシフト通りに出勤する「勤怠の良さ」は重要ポイントです。SNSではよく夜のお店で働く女の子たちが「無断欠勤した!」と意気揚々とポストしていますが(笑)休みまくると、店からの信頼を失います。

特に飲み屋(キャバクラやラウンジ、スナックなど)は出勤日数の確約が時給査定や入店条件に関わってきますから、欠勤や遅刻が多い=契約違反となり、減給or最悪の場合は退店に追い込まれるという……!「遅れても謝れば済む」ではない、ゼロか100なのが夜職のシビアな点です。

数カ月しか働かないなら、夜職はラクな商売かもしれません。でも、長期的な目で見ると“ラクして稼ぎ続けられる”とはとても程遠い世界なんですよ。

■初心者が戸惑う暗黙のルールたち

一般の会社では、新人にオリエンテーションをおこなう企業が大多数でしょう。入社初日は半日~丸1日オリエンに使い、社内ルールや仕事の基礎について学びますが、夜職にはこの手の流れが一切ありません。教わるのは店内で使うハンドサインと、指名が決まっているお客さんとの連絡先交換がNGということくらいで、あとは全て働きながら覚えるしかないのです。

しかも「指名が決まっているお客さんとの連絡先交換はNG」だけれど、「指名の女の子の許可があれば、ヘルプもLINE交換OK」のようなイレギュラーもキャバクラでは発生するため、初心者はまず初めに“暗黙のルール”に戸惑うことでしょう。昼の世界ほどカッチリしていないので、例外的な出来事が多く起こります(笑)

即座にフロアへ投げ込まれ、プロとしての接客をおこなわねばならないためナイトワークは本当に大変。詳しい接客方法なんて、正解がないですからね。働く前から色々仕込んでも対応方法は十人十色、結局「教えてもさほど意味がない」状態になるから敢えて最初から教えない……なんて意見もあります。

また売れっ子が同伴・アフターをせずに売り上げを立てている発言をすれば、多くの人がうらやましい!真似をしたい!と思うはず。しかし、彼女たちも“売れてからはそういうスタイルを取っているだけ”で、新人時代は同伴もアフターもしまくっているものです。

下積みがあるからこその今ですから、売れないうちは時間外営業が当たり前です。これぞ、世間の人が知らない最大の暗黙のルールと言えるかもしれません。最近の夜職ブームに憧れた若者が売れっ子の言葉を鵜呑みにして入店すると、入店直後に現実を知って幻滅してしまうケースは、実際に多いようです。

ちょっぴり細かい部分だけをピックアップしましたが、いざ働いてみないとわからないことばかり。教科書のないなか実戦で学び、プラス道を踏み外さない程度にルールを守るなど夜職は地味な努力が必要不可欠ですからね。

◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。