大学生と考える、脱炭素のライフスタイル 伊藤ハム(西宮市)
脱炭素社会の実現に向けて、行政や企業活動が対応を迫られる中、私たち一人一人が暮らしの中でできることは何か。神戸新聞社と連携協定を結ぶ神戸大学の学生が、兵庫県内などに拠点を置く7事業者の取り組みを記者とともに「取材」し、脱炭素のライフスタイルについて考えた。
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■代替肉「おいしいから選ぶ」
「どちらが、大豆タンパクを使った代替肉か分かりますか」。伊藤ハム(西宮市高畑町)を訪れた農学部4年高野愛さん(22)と、経営学部1年松本彩芽さん(19)の前にハムカツとナゲット、肉だんごが2種類ずつ並んだ。
2人は「どちらも繊維感があってジューシー」と悩み、松本さんは「本物の肉を使った商品より、代替肉の方があっさりしていて好みかも」と笑みを浮かべた。
伊藤ハムは2020年、「まるでお肉!」シリーズを発売。2月時点で10種類を手がける。「なぜ代替肉なのか」という疑問に、同社でマーケティングを担う堤遼平さんは「50年には世界の人口が1・4倍(10年比)になり、食肉需要の増加が予想されます」と説明。牛肉増産に伴って飼料向けの農地拡大で森林伐採が進み、脱炭素に逆行してしまうことが想定されると伝えた。
堤さんは「代替肉を扱うのは、社内では肉屋の本業を否定するようで葛藤もあったが、持続可能な取り組みに向き合うことも大切だった」と意義を語った。
学生2人が代替肉の今後を問うと、「普段の食事の選択肢の一つにしていきたい」と堤さん。購入は50代以上が多いといい、「もっと若い人たちに届くように考えていく」とした。
高野さんは「代替肉は環境や健康を意識する人が仕方なく食べる食品というイメージだったが、全然違った。これからはおいしいから選ぶ機会が増えそう」と話した。(堀内達成)