大学生と考える、脱炭素のライフスタイル 関西エアポート(大阪府泉佐野市)
脱炭素社会の実現に向けて、行政や企業活動が対応を迫られる中、私たち一人一人が暮らしの中でできることは何か。神戸新聞社と連携協定を結ぶ神戸大学の学生が、兵庫県内などに拠点を置く7事業者の取り組みを記者とともに「取材」し、脱炭素のライフスタイルについて考えた。
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■家庭の廃油で飛行、実現期待
航空業界では従来の重油燃料から、二酸化炭素(CO2)排出を減らす航空機用再生燃料(SAF)に切り替える動きが始まった。国際人間科学部3年の中川弘子さん(21)と、大学院海事科学研究科2年の伊藤樹里さん(24)は、関西空港を訪ねた。

CO2排出量を抑える航空燃料SAFについて説明を受ける伊藤樹里さん(右)と中川弘子さん(中央)=関西空港
CO2排出量を約80%抑えるSAFは、天ぷらなどに使った廃棄対象の食用油などをろ過して作る。関西、大阪(伊丹)、神戸の関西3空港を運営する関西エアポート(大阪府泉佐野市)は日揮ホールディングスなどと連携し、SAFの製造に乗り出した。
まずは空港内の飲食店などに協力を促し、廃油を回収する。関西エアの武内有佳・技術統括部マネジャーは「航空機から出るCO2は『飛び恥』と言われます。航空業界も脱炭素を進めないと」と話した。
中川さんが「飲食店側のメリットは」と質問。武内さんは「以前は店が業者にお金を払って回収してもらっていましたが、今はその必要はありません」と答えた。伊藤さんが家庭からの廃棄油回収を尋ねると、武内さんは「まだ手が付いていない。行政などと協力して進めていければ」と応じた。
取材を終え、「飛行機の燃料は遠い話に感じていましたが、家庭からの廃油活用を聞き、私たちにもできることがあると実感しました」と中川さん。伊藤さんは「廃食油は身近なので、SDGsへのハードルが下がった。日常的に廃油が回収されるシステムの実現を楽しみにしたいです」と話した。(横田良平)