大学生と考える、脱炭素のライフスタイル コープこうべ(神戸市東灘区)
脱炭素社会の実現に向けて、行政や企業活動が対応を迫られる中、私たち一人一人が暮らしの中でできることは何か。神戸新聞社と連携協定を結ぶ神戸大学の学生が、兵庫県内などに拠点を置く7事業者の取り組みを記者とともに「取材」し、脱炭素のライフスタイルについて考えた。
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■電気の発電源、もっと関心を
生活に欠かせない電気。脱炭素社会の実現には、太陽光などの再生可能エネルギー(再エネ)拡大が鍵を握る。大学院海事科学研究科2年の伊藤樹里さん(24)と国際人間科学部1年の小城戸愉子(こきどゆこ)さん(19)は、生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)が家庭向けに提供する電力「コープでんき」を取材した。

水力発電機の仕組みについてPVネット兵庫グローバルサービスの林洋幸副理事長から説明を受ける(左から)小城戸愉子さんと伊藤樹里さん=神戸市灘区水車新田(撮影・中西幸大)
神戸市灘区の六甲川沿いの小水力発電所。運営する市民グループ「PVネット兵庫グローバルサービス」のメンバーが、「川の流量と約30メートルの高低差を生かした発電です」と説明してくれた。2021年4月に本格稼働し、約30世帯分を発電できるという。2人は「大学近くにこんな場所があるなんて」と驚いた。
こうした地域でつくられた電気も買い取り、コープでんきは電源の3割を再エネで賄う。7割は二酸化炭素(CO2)排出量が比較的少ない天然ガスで構成。約4万2千世帯に供給する。
一方、燃料価格の高騰が続き、5月検針分から値上げする。鬼澤康弘・SDGs推進部統括部長は「電気はつくる人がいてコストがかかります。地域の人と一緒に考え、つながりを広げたい」と話した。
小城戸さんは「『再エネに関係する人の思いや事業の意義などを組合員に伝える活動が大事』という(鬼澤さんの)言葉が印象的でした」。伊藤さんは「食品購入のように、電気も発電源や発電場所にもっと興味を持つべきだと感じました」と振り返った。(石沢菜々子)