経済
保湿力高い美容液開発 女性社員の「なぜ増やさない」がきっかけ 魚のうろこから抽出、多木化学が新ブランド
肥料メーカーの多木化学(兵庫県加古川市)は、魚のうろこから高濃度のコラーゲンの抽出に成功、高い保湿性を持った美容液を開発した。今月、新ブランド「うるみこ」として発売。化粧品販売事業に参入した。通常の美容液の500~1千倍のコラーゲンを含み、肌の潤いを長時間保てるという。(三宅晃貴)
魚のうろこは、魚臭さの基となるタンパク質や油分が少なく、純度の高いコラーゲンを抽出しやすいとされる。人と共通のウイルスを含まず安全性も高く、多くの美容液の原料として活用されているという。
同社が使うのは、食用養殖魚「ティラピア」。アフリカ原産の体長約40センチの淡水魚で繁殖力が高い。日本をはじめ世界各地で養殖され、同社は中国から輸入する。他の魚のうろこに比べ、含まれるコラーゲンの変性温度が高く、気温や体温による劣化のリスクも低いという。
同社は約10年前から複数の化粧品メーカー向けに保湿剤を製造、納入してきた。「保湿力が高いのに、なぜ各メーカーは配合量を増やさないのだろう」。約2年前、疑問を感じた社内の女性担当者らが美容液の自社開発に着手した。
ゼラチンなどに比べ、化粧品の粘りが出やすい点が課題だったが、試行錯誤の末に解消。コラーゲンを凍結、乾燥させてスポンジ状に加工、直前に化粧水で溶かして使うようにした。溶かしやすい専用の化粧水も開発。粘り気が少なく肌に近い状態を保った上で、高濃度のコラーゲンを含む美容液を実現した。
ブランド名には「潤いが満ちた肌をつくるコラーゲン」との意味を込めた。コラーゲンの分子は大きく、皮膚には浸透しない。肌の表面に膜を作り、潤いを長時間保つ働きがあるという。
同社担当者は「ねばつきなく、肌はさらっとした仕上がりになる。長時間にわたり水分の蒸散を抑えられ、肌のバリアー機能をサポートできる」としている。通販サイト「楽天市場」で販売。専用の化粧水とセットで24回分7920円。