経済
メタノール燃料のタンカー建造へ 阪神内燃機や商船三井など6社 国内初、来年末の完成目指す
海運大手の商船三井(東京)や船舶用エンジン製造の阪神内燃機工業(神戸市中央区)など6社は23日、メタノールを燃料とする国内初の内航タンカーを建造すると発表した。2024年12月の完成を目指す。搭載するエンジンは阪神内燃機が明石工場(明石市)で開発、製造する。
メタノールは天然ガスなどから生産される。クリーンエネルギーとして期待が高く、今回、重油に代えて燃料に使うと、排出する二酸化炭素を28%、硫黄酸化物を85~90%削減できる見通しだ。
製造するタンカーは全長65・5メートル、幅10メートル、総トン数約570トン。村上秀造船(愛媛県)が建造し、商船三井内航(東京)と田渕海運(大阪市)、新居浜海運(愛媛県)が共同保有する。荷主は三菱商事で、山口県の徳山港から国内各地にメタノールを運ぶ予定だ。
メタノール燃料の内航船は、エンジン価格が重油燃料に比べ2割程度高くなる。今回は政府の補助金を使うが、燃料タンクの体積が増えて貨物スペースが制約を受ける可能性があるなど他にも課題がある。
阪神内燃機は約35年前にメタノール燃料のエンジンを完成させた実績がある。同社の辻岡幸司執行役員技術部長は「その技術を掘り起こして開発している」と説明。播磨工場(兵庫県播磨町)に、メタノールの燃焼試験を行う実験棟が、年内にも完成する予定だ。(大島光貴)