ひょうご経済プラスTOP 経済 イチゴの収穫量、10日先まで予測 光合成量を基にAI算出 大ガスとイオン子会社、欠品や廃棄問題の解決へ

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イチゴの収穫量、10日先まで予測 光合成量を基にAI算出 大ガスとイオン子会社、欠品や廃棄問題の解決へ

2023.03.20
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実証実験を進める島根安来農場のハウス内で生産するイチゴ=島根県安来市(大阪ガス提供)

実証実験を進める島根安来農場のハウス内で生産するイチゴ=島根県安来市(大阪ガス提供)

実証実験で収穫したイチゴを持つイオンアグリ創造社長の福永庸明氏(左)と大阪ガス執行役員の夏秋英治氏=大阪市中央区(大阪ガス提供)

実証実験で収穫したイチゴを持つイオンアグリ創造社長の福永庸明氏(左)と大阪ガス執行役員の夏秋英治氏=大阪市中央区(大阪ガス提供)

 大阪ガスとイオン子会社のイオンアグリ創造(千葉市)は、同社直営の国内2農場でハウス栽培するイチゴの生産量を10日程度先まで予測する実証実験を始めた。光合成量の算出と人工知能(AI)を組み合わせ、安定した農作物の流通とフードロスの削減を目指す。6月ごろまで実験を続け、有用性を判断する。生産したイチゴは、兵庫県内を含む各地のイオン系列のスーパーで販売している。(三宅晃貴)

 出荷量の想定は、栽培担当者が成熟度や天気予報から予測してきた。熟練者の経験やノウハウ頼みで、予測が外れると欠品や廃棄などの問題が生じてきた。

 大ガスは、太陽光発電量の予測などで独自の気象予測技術を持つ。2021年、農業分野での活用に向け、イオンアグリとの共同研究に着手。今年2月から、千葉と島根県の農場で実証を始めた。兵庫県三木市にも同社の農場はあるが、イチゴは生産しておらず今回の実験には関わっていない。

 大ガスは、ハウス内の日射量や二酸化炭素(CO2)濃度、湿度などから光合成量を算出する技術を開発。樹齢や光合成量などによるイチゴの生育データに基づき、AIを使って10日後の収穫量を予測する。イオンアグリは、予測値を基に収穫、出荷する。制度を高めれば、日射量やCO2濃度などの制御で生産量を調整し、出荷量との誤差を現在の10分の1に減らすことも可能という。

 大ガスは、イチゴに限らず、他の農産物を含む収穫量予測の外販を検討。生産予測のデータ市場を国内で70億円と推計する。同社の夏秋英治執行役員は「軌道に乗ればトマトなど他の野菜や果物に拡大したい」と話した。