ひょうご経済プラスTOP 経済 今年も販売、震災で生き残った日本酒「現外」 沢の鶴 被災酒蔵で見つかった酒母を搾り熟成

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今年も販売、震災で生き残った日本酒「現外」 沢の鶴 被災酒蔵で見つかった酒母を搾り熟成

2023.01.17
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震災をくぐり抜け28年熟成した日本酒「現外」(クリア提供)

震災をくぐり抜け28年熟成した日本酒「現外」(クリア提供)

28年熟成させた日本酒「現外」を手にする沢の鶴の西向賞雄取締役(左)とクリアの生駒龍史社長=神戸市中央区中山手通5

28年熟成させた日本酒「現外」を手にする沢の鶴の西向賞雄取締役(左)とクリアの生駒龍史社長=神戸市中央区中山手通5

 沢の鶴(神戸市灘区)は24日、阪神・淡路大震災で被災した酒蔵で生き残った酒母を使った日本酒「現外」を数量限定で発売する。午後6時から日本酒販売などのクリア(東京)が運営する通販サイト「SAKE HUNDRED(サケ・ハンドレッド)」で、500ミリリットル入り24万2千円。

 同社では28年前、七つの木造蔵が倒壊。残った鉄筋コンクリート造りの蔵の中から清酒のもとである酒母が見つかった。製造設備が被災して発酵はできなかったが、「捨てるのは忍びない」(同社の西向賞雄取締役)と、酒母の状態から搾り、保存した。

 当初は酸味が強かったが、10年ほど前から酸味がとれ、複雑な香りと味わいの琥珀色に変化。これにクリアの生駒龍史社長が着目し、19年から販売を始めた。

 毎年、数百本単位で販売するが、熟成度合いなどによって販売中止の可能性もあり、予定数は非公表。購入者は東京で4月に開かれるディナー(1人5万5千円、同伴者3万3千円=1人まで)に参加できる。

 西向取締役は「今後、酒がどう変化するか楽しみでもあり、はらはらもしている」と話した。