経済
青果卸売市場に流通多様化の波、神戸では取扱高30年で半減 増す出荷者の発言力、効率化急務
青果卸売市場を取り巻く環境は厳しい。農林水産省の推計によると、流通形態の多様化などにより全国で卸売市場を経由する青果の割合(重量ベース、輸入品含む)は90年代後半の7割超から右肩下がりが続く。2019年度には5割余りにまで減少した。
量販店の拡大や輸入品の増加、ふるさと納税の普及などで流通は多様化。神果神戸青果が荷受けを手がける神戸市中央卸売市場の取扱高は、ピークの1991年の約530億円から、2022年3月期は約250億円に半減した。
農業協同組合の大型化や農地集約などで出荷者の発言力は増す。スーパーマーケットの販売力の高まりやドラッグストアなど新業態の生鮮食品販売への参入など競争は激化している。
一方、卸売市場の数や業者数は地方卸売市場を中心に減少傾向だがペースは鈍く、各市場間の競争も起きている。さらに働き方改革に伴い、24年度からトラック運転手の時間外労働が厳格化される「2024年問題」もあり、物流の効率化は喫緊の課題と言える。
同社と神明ホールディングスとの資本業務提携を発表した会見で、両社は集荷や販売、物流などの効率化を掲げた。神果神戸青果の原田俊一社長は「神明グループの経営ノウハウを参考に、経営の効率化と管理体制の強化を図り、収益力を向上させたい」としている。(森 信弘、赤松沙和)