経済
神栄テクノロジー、初の食品用機器開発 カビなどのリスク把握
計測機器製造の神栄テクノロジー(神戸市中央区)は、食品の大敵、カビや細菌などの微生物が繁殖するリスクを把握できる水分活性測定器「AwView(エーダブリュー・ビュー)」を開発した。工場の衛生管理に活用してもらう。同社が、食品用機器を手掛けるのは初めて。
同社は、商社神栄(同)の子会社。主に工業分野の振動や大気中の成分などのセンサー、分析機器を扱ってきた。これらのノウハウを生かし、他社製品より価格を10分の1以下、サイズを5分の1以下に抑えることに成功した。
食品中の水分量が増えると、滑らかさやしっとりとした食感が得られる。一方で、塩や糖分などと結び付かない水が増えると、微生物が活発化するリスクが高まる。開発した測定器は、この水分の割合を測り、スマホやタブレットの専用アプリの画面に表示し、データも保存できる。
食品事業を巡っては2021年6月、新たに食品衛生管理基準の国際基準HACCP(ハサップ)が導入。製造・加工の全工程で厳格な管理が求められるようになった。半生菓子などを扱う業者の需要を見込むほか、化粧品、医薬品メーカーからも問い合わせがあるという。
神栄テクノロジーは今後、HACCP対応支援など食品分野で事業拡大を図る。担当者は「(食品が主力の)親会社、神栄との相乗効果も発揮したい」としている。(広岡磨璃)