経済
バウムクーヘンのユーハイム、日本で100年 神戸・元町の本店、7日にリニューアルオープン
洋菓子のユーハイム(神戸市中央区)は、日本初出店から100年を迎える7日に、神戸・元町の本店をリニューアルオープンする。1階の内装やブランドロゴ、商品パッケージなどを刷新。4日には報道関係者向けの内覧会があった。現在、神戸で開催している記念イベントも今後、全国で展開していく。
現在の本店の改装は1988年の移転開業以来初めて。店内の床や商品パッケージには、白、赤、黒色の「ユーハイムチェック」があしらわれ、同社らしさを演出。創業者がクリームで絞った社名の文字をデザインにしたロゴも復活させた。
創業当時から人気のバタークリームケーキを「ユーハイムクランツ」と改名してリニューアル。地下1階では、6月末までの期間限定で、同社の100年のあゆみやバウムクーヘンの歴史をたどる特別展を開催。同社の歴代のパッケージ展示も楽しめる。
河本英雄社長(52)は「職人たちが時代ごとにお菓子を見つめて、創業当時の製法を引き継いできた。100年を迎え、これからもおいしくし続けたい」と話した。
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日本でバウムクーヘンを広めた菓子職人のカール・ユーハイムが、神戸に来たのは1923(大正12)年だった。
09年に母国ドイツの租借地だった中国・青島で創業。結婚後、捕虜として日本に連れて来られ、永住を決意した。22年3月7日、横浜に日本1号店「E.ユーハイム」をオープンした。
しかし翌年に関東大震災で店舗を失い、知人を頼って神戸へ移る。再起をかけて神戸1号店を開店。人気店に育て上げた。
45年、終戦の前日に逝去。戦後、妻のエリーゼはドイツへ強制送還されるが、店の職人らが「ユーハイム商店」を設立し、53年に日本へ呼び戻した。
59年、東京・渋谷に店を開業(2003年閉店)。1966年にはバウムクーヘン工場を愛知県安城市に建設した。現在もバウムクーヘンやクッキーなど焼き菓子を製造する。
70年代から全国各地に店舗を拡大し、76年には夫妻の故郷・ドイツへの出店(93年閉店)を果たした。シンガポールなどアジアにも進出し、現在は百貨店を中心に国内外で270店以上を展開している。(赤松沙和)