ひょうご経済プラスTOP 経済 <地を担う>(16)株式会社アグリヘルシーファーム(丹波篠山市)

経済

<地を担う>(16)株式会社アグリヘルシーファーム(丹波篠山市)

2022.02.22
  • 印刷
昨年秋に収穫した玄米を精製するアグリヘルシーファームの原智宏社長=丹波篠山市味間奥

昨年秋に収穫した玄米を精製するアグリヘルシーファームの原智宏社長=丹波篠山市味間奥

神戸新聞NEXT

神戸新聞NEXT

■組織的農業で販路拡大

 「仕事も休みも充実させて、従業員を幸せにしたい」。アグリヘルシーファーム(兵庫県丹波篠山市)の原智宏社長(43)が大切にしている考え方だ。

 休日は年108日確保する。秋の収穫時は数時間残業する日もあるが、年平均は1人1日約10分にとどめる。「みんな、平日のゴルフや2週間の海外旅行に行ってますよ」

 業務内容が天候や季節に左右される農業は一般企業と違い、労働時間や休日の規制はない。それでも「普通の会社にできて、うちにできないはずがない。農業を就職先として選ばれる産業にしたい」と強調する。

 大学を卒業した2001年、専業農家の父の下で就農した。仕事はきつく、賃金はわずかだった。組織的な農業を目指して法人化を提案し、同年12月に農事組合法人を立ち上げた。

 5年間、朝から晩まで農地に出て、父がこだわってきた土作りからの有機栽培を教わり、27歳で代表に就いた。

 14年に経営方針を見直し、手間の掛かる茶作りから撤退する一方で、比較的育てやすい地元特産の黒大豆、枝豆の栽培を増やした。兵庫県立農業大学校の卒業生や就農イベントで出会った6人を社員に迎え入れ、品質向上に努める。原さんは営業に専念し、育てた作物の大半を自社で販売している。

 19年には株式会社化した。販売先は、京阪神の飲食店や旅館など約100カ所に拡大し、自社サイトの個人客は500人余りを数える。

 高齢農家からの耕作依頼が相次ぎ、手掛ける農地は就農時の8倍の80ヘクタールに広がった。2年後には100ヘクタール、売上高2億円を目指す。「農業に携わる人を増やしたい。農地だけでなく篠山を守るために」。地域の将来をも見据える。(山路 進)