経済
上組、脱炭素へEV船導入 CO2を年400トン削減、バイオマス発電の燃料輸送へ
港湾物流の脱炭素化に向け、上組(神戸市中央区)は、環境負荷を低減する電気推進船(EV船)を1隻導入する。関西電力の子会社が2023年1月に稼働させる相生バイオマス発電所(兵庫県相生市)の燃料を輸送する。上組のEV船運航は初めて。バイオマス燃料を輸送する貨物船の電化は世界初という。(横田良平)
関電、EV船の開発・促進を手掛けるe5ラボ(東京)と、同年5月の運航開始を目指す。
旭タンカー(同)が所有し、全長71・89メートル、幅12メートル、総トン数499トン。エンジンも搭載するハイブリッド型で、小型発電機と大容量蓄電池を備え、出入港や積み荷・荷揚げは電気で作業する。同規模のディーゼル船に比べて、二酸化炭素(CO2)排出量を最大半減できるという。
神戸港-同発電所間では、年間最大400トンのCO2排出削減を見込んでおり、中長期的なゼロカーボン化につなげる。騒音や振動も大幅に抑える。
海運業界では、国際海事機関(IMO)が、船舶の温室効果ガス排出量を50年までに08年比50%以上削減する目標を設定する。国は50年に、港湾分野の温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラルポート」を掲げている。
上組は神戸港や横浜港などの倉庫で、屋根に太陽光発電設備を導入するなどの取り組みを進めている。同社は「今後も機会に応じて積極的に導入を図りたい」としている。